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東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。
直木賞受賞作と言うことで、手にとった本。
この空気感というか、全体から漂う雰囲気は好き。ハードボイル風なんだけど、どこかゆるい感じがするんだ。
この物語の中で出てくる行天というキャラクターが好きで、いざとなるとものすごい力を発揮するんだ。しかし、どこか規格外で、暴力に走ってしまう。
伊坂幸太郎のような雰囲気も感じた。
親から愛されていないと感じる小学生の送り迎えをするエピソードでの最後のシーンが印象的だった。フランダースが所々に活用されているエピソードで。
「おまえはあのアニメをハッピーエンドだと思うか?」
「思わないよ。だって死んじゃうじゃないか」
「俺も思わない。死んだら全部終わりだからな」
「生きていればやり直せるって言いたいの?」
「いや。やり直せることはほとんどない。いくら期待しても、おまえの親が、おまえの望む形で愛してくれることはないだろう。」
「そうだろうね」
「だけど、まだ誰かを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、おまえはだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されている」
こういう、希望みたいなのを与えてくれる物語って好き。
星4つ。
著者の別の本を読んでみたいと思う。