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チャイルドモデルから芸能界へ。幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。成長する少女の心とからだに流れる18年の時間を描く待望の長篇小説。
著者にとって、これが3冊目の作品になる。
「インストール」や「蹴りたい背中」は既読なので、今のところ彼女の作品は全て読んでいることになる。
「インストール」や「蹴りたい背中」は過剰とも思える比喩や直喩が多くて、とても新鮮だったのは覚えている。その表現技法にストーリーが追いついてこないので、あまり面白い作品とは思えなかったというのは、率直な感想だった。
今回の作品は過剰な表現を抑えつつ、ストーリーに気を配ったという印象を受けた。おかげで、物語への感情移入がしやすかった。
芥川賞を受賞した著者とこの物語の主人公である夕子重ね合わせて読むのが面白いと思う。
最初はとっつきにくいのだけど、思った以上にのめり込んでいった。
ストーリーの中学時代に登場する多摩という男の子の話が伏線になっているかと思いきや、まったくなっていなかったのが拍子抜けだった。しかし、これも現実なのだという著者のメッセージなのかもしれない。
ラストはあっけない終わり方だったけど、こういう現実的な終わり方も著者のメッセージなのだろう。
どことなく、石田衣良が書くような作品だけど、以前の2作品「インストール」や「蹴りたい背中」と比較すると好き。ものすごい勢いで成熟しつつある作家さんという印象を受けた。
星4つ。
あまり自分にフィットする作家ではないからか、期待値が低かったのかもしれない。だから星4つ。
前の2作品「インストール」「蹴りたい背中」が好きな人は意表をつかれる作品かも。