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本書は、自殺してしまった、そして自殺しようとした若者・子どもたち12人への取材をもとにしたルポルタージュである。その中で明らかになっていくのは、親や教師は、若者や子どもが抱える「生きづらさ」を知り、その行動化としての自殺願望を、理解することができるのかどうかということだ。現実として、それは決して簡単なことではない。
最終章で著者は、「人間関係の選び直し」こそが、若者や子どもが「生きづらさ」から抜け出し、親や教師がそれを理解するための方法なのではないかと説く。身近な人間、もしくは自分自身がいつ自殺を考えてしまうか判らないからこそ、ここにある真実を少しでも知って欲しいと思う。
自殺をしてしまった人、自殺を試みてとどまった人達のルポが掲載されている。著書のタイトルどおり、若者にフォーカスをあてているが、今は中高年の方が統計的に無視できないのではないだろうか。
両親からの虐待、ネグレクト、学校でのいじめとかを原因に自分の居場所がなくなり、自殺を希望する人、自殺を実行してしまう人。「生きづらさ」というキーワードに終結するのだけど、やるせないよ。
読んでいるだけで、暗い気持ちになる。それと同時に腹立たしくもなった。
世の中には生きたくても生きられない人はたくさんいるのだ。自分が病気になって、余命があと1年とか言われたら、それでも自殺をしようと思うのだろうか。
著者の考え方の根本にある、「自殺はいけないという道徳を押し付けてはいけない」という考え方には賛成することはできない。本書を最後まで読んでも賛成できなかった。
自殺を考えてしまう人たちの思考回路を理解するケーススタディとしては良いかもしれないが。
星3つ。
やはり、自分は伊坂幸太郎の「終末のフール」のお父さんの考え方が好きだ。