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沖で待つ
「おまえさ、秘密ある?」住宅設備機器メーカーに入社して福岡支社に配属された同期の太っちゃんと女性総合職の私。深い信頼と友情が育っていく。そして太っちゃんの死。太っちゃんとの約束を果たすべく彼の部屋にしのびこむ。選考委員会で高い評価を得た第134回芥川賞受賞作。他1篇併録。


134回芥川賞受賞作品と聞いて手に取った本。

「芥川賞を受賞した本か〜」なんて期待して読むと、外してしまうことが多かった。
例えば第130回の「蹴りたい背中」。期待して読んだが、何が言いたいのかまったくわからず、「なんでこれが芥川賞なの?」なんて感じたもの。

で、この本「沖で待つ」を読んだ。面白かったよ。
期待のハードルが低かったのが影響したのかもしれない。とても面白く読めた。
この本は「沖で待つ」と「勤労感謝の日」の短編が2本おさめられている。

両方とも主人公のモノローグが独特で、とても共感できた。
大きな事件があるというわけではないし、やっぱり何を言いたいのか分からないんだけど(一つはお見合いの話だし、一つは幽霊と語る話)、主人公が生き生きと描かれているんだ。

描き方も全て緻密に書いてあるというわけではなく、ところどころ省略しながら読者に行間を読ませるような手法というんだろうか。色々と想像してしまった。漫画で言うとタッチを描いた"あだち充"的な感じっていうの?

芥川賞の受賞作に相応しいかは置いておいて、読んで欲しい作品。

星4つ。
薄いので、1時間あれば余裕で読める。
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