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終末のフール

こういうの大好き。

直木賞候補にもなった「死神の精度」のような短編集。この作品は時間軸が大きくずらされるというのはないけど、以下の各編のストーリーが巧妙に絡み合う、幸太郎ちゃんお得意の技巧が張り巡らされている。

  • 「終末のフール」
  • 「太陽のシール」
  • 「籠城のビール」
  • 「鋼鉄のウール」
  • 「天体のヨール」
  • 「冬眠のガール」
  • 「演劇のオール」
  • 「深海のポール」

8年後に小惑星が落ちてきて地球は滅亡すると発表されて5年が経過した時点の物語。

著者独特のクールな展開かと思いきや、そうではなかった。「しがみついてでも、楽しく生きていこうよ」というメッセージが気持ちいい。この前向きな感じに好感を持った。

欲を言えば、そういう「死神の精度」のような少しニヒルなストーリーも盛り込まれていれば、メリハリがついてさらに面白かったとは思う。おそらく、「死神の精度」が死に向かう話だったから、今度は逆に生きることへの物語を書きたかったのだろう。

印象に残っている、最も衝撃を受けたセリフ。なぜ自殺してはいけないのかという問いに対して、変わり者の父が発した言葉。

「自殺しちゃいけねえ理由なんて知らねえよ、ばーか」。

これ衝撃だった。すごく心に響いた。人を殺しちゃいけない理由とか、自殺しちゃいけない理由とか、理屈をこねくり回して説くんじゃなくて、こうやってストレートに言った方がきっと伝わるだろうなって思った。しかも、語尾に「ばーか」って付いている。

星5つ。

参考:伊坂幸太郎「終末のフール」インタビュー


好きなシーン。

天体のヨールから

首をつって死のうとした矢部と、天体マニアの二ノ宮とのシーン。「天体ファン」という言葉に反応する二ノ宮。

「天体オタクって言えばいいのに」に対して、「あれば蔑称だ」と答える。「何かに夢中になる人をオタクって言うなら、それは敬称だ」とやり返す。

深海のポールから

上にも書いたけど、過去に自殺しようとしたシーンを振り返り、変わり者の父との会話のシーン。「どうして自殺したらいけないんだ」の問いに対して。

父に思いっきり殴られた後。「自殺しちゃいけねえ理由なんて知らねえよ、ばーか」「とにかく、絶対死ぬんじゃねえぞ」「あのな、恐る恐る人生の山を登ってきて、つらいし怖いし、疲れたからもと来た道をそろそろ帰ろうかな、なんてことは無理なんだよ」「何様なんだよ、お前は。俺は登ったらどうですか、なんてことを言ってるんじゃねえんだよ。登れる限りは登れって命令してるんだ。」「いいか、俺は理由なんて知らねえけどな、とにかく自殺なんてしたらぶっ殺すからな」

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