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我が国の格差問題の原因について、1つの衝撃的な解答を示す書。若年層が社会から逸脱し下流に落ちるのは環境ややる気の問題ではなく、まともな生活を営むうえで決定的な能力が欠落していることによると説く。著者の専門は文学・思想史であり、統計的な分析や実地調査に基づく分析は用いていない。しかし、人間のあり方そのものを深く洞察する手法で「学び」と「労働」を放棄する若者の思考のメカニズムを、説得力をもって解明していく。
我が国で下流に落ちる若者たちは、人類史上初めて登場したタイプではないかと言う。彼らは生きるために必要な知識を学ぶという当然の行為を否定する。その裏には「無知のままで生きる不安を感じずにいられる」という絶望的な特徴があると指摘する。これは貧困や劣悪な生活環境によって「教育を受けたいが受けられない」といった、従来存在した下層社会の問題とは根本的に異なる。彼らにとって教育や労働は強制された「苦役」でしかなく、避けられるものならば避けて通りたい面倒ごとにすぎないと言う。
そうした若者が増殖する原因の1つは「孤立化」だと言い、社会の目に見えない相互扶助ネットワークから一度逸脱してしまうと、下流生活が定着化してしまうと憂える。
消費者として子供が育てられて、その消費にかかる時間が短いというのに快楽を覚えるというのが面白かった。コレに絡めて、自己責任論を展開していて、「そう言われれば、そうかも」というその着眼点を興味深く覚えた。
資本主義経済的な観点から利益を最大限に得るというのではなく、損失をできるだけ減らすという昔ながらの考え方に行きたいというところか。
全体的に、偉そうに言ってるなーという印象を受けた。ま、偉い先生なんだろうけど。
科学的に検証しているわけでもないので、あまり鵜呑みにしてはいけないのかも。
星3つ。
やっぱり、本書でもニートの定義が曖昧だった。また、ニートといっても、働きたいが働けない、学びたいが学べないという人もいるのではないだろうか。