読書の記録がメイン。後は、つぶやき的な記録。
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阪神大震災のさなか、700km離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか? 本部長の椎野勝巳をはじめ、椎野と敵対するキャリア組の冬木警務部長、準キャリアの堀川警備部長、叩き上げの藤巻刑事部長など、県警幹部の利害と思惑が錯綜する。ホステス殺し、交通違反のもみ消し、四年前の選挙違反事件なども絡まり、解決の糸口がなかなか掴めない……。amazon紹介
著書の作品を読むのはこの本で4冊目だ。
前回読んだのは、ドラマ化もされた「クライマーズ・ハイ」。
著書のタイトルにもなっている「震度」とは阪神・淡路大震災のこと。物語は阪神・淡路大震災が起こったのと同じくして、県警本部の不破がいなくなるところからはじまる。
著者お得意の仕事での縄張り意識、階級、キャリア・ノンキャリアによって、署内の"ひずみ"が次第に大きくなっていく。そういうのを書かせると、ほんとうまい。グイグイ引き込まれて、最後まで一気に読ませるのはさすがだ。
警察内部の内情を暴く、権力闘争のフィクションとして読むと良いと思う。
しかし、自分はミステリーとして読んでしまった。この物語の核である不破失踪のタネ明かしは、「え?こんだけひっぱっておいて、このオチかよ」と思わずにはいられなかった。また、それ以外の謎解きも大したことはないと感じた。
そして、警察内部の内情と対比させて使われている阪神・淡路大震災はなんの意味のない。なんの意味もないというのは極端な言い方だった。確かに、阪神・淡路大震災という大きな被害状況と、警察の保身に動く人々との対比を描きたかったのかもしれない。しかし、それが阪神・淡路大震災にこだわる必要はないと思う。ネタバレになるけど、「ここから大震災との関係がつながるのか?」と思わせる記述もあったんだけど、それはフェイクだったんだよな。
前回読んだクライマーズ・ハイでもそうだった。クライマーズ・ハイでは、主題である日航機墜落事故と、タイトルになっている登山が無関係だったし、今回も大震災と不破の失踪は無関係。
著者にはこのように、なんとなく思わせぶりにしておいて、最後に肩透かしを食らわされる。そんな印象が強い。
星3つ。
面白いことは面白い。けど、ミステリーとして読んではいけない。
横山 秀夫の作品が好きなら、気に入ると思う。
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